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2017.06.16更新

「無償化」の財源議論迷走

財政悪化将来にツケ

 

 安倍晋三首相が意欲を見せる教育費の無償化に必要な財源に関する議論が迷走している。「教育国債」を発行して財源を確保する案が浮上しているが、財源の裏付けのない赤字国債に過ぎず、国の借金増につながる。無償化の恩恵をうけるはずの将来世代が負担を背負うことになるため、慎重な検討が求められている。

 

 政府はこれまで教育費支援として、幼児教育の一部無償化や、返済の必要のない給付型奨学金の創設などを進めてきた。首相は、憲法改正で「教育無償化」の実現を訴える日本維新の会を取り込む狙いもあり、無償化を拡充したい意向とされる。ただ、完全無償化には5兆円程度が必要と見られ、2月から議論を始めた自民党内では、使途を教育に限定する「教育国債」を発行して投資家から借りたお金を充てる案が文教族を中心に浮上している。

 だが、教育国債は国の赤字を穴埋めする赤字国債であることに変わりはない。国と地方の借金が1000兆円を超え、財政状態が厳しさを増す中で、親世代が負担を逃れ、子ども世代にツケを回すことになる。また、教育国債を財源にして大学の授業料を無償化すれば、進学しない人はメリットがなく、返済の負担だけを負うことになる。政府内には「教育と言えばみんな賛成すると思うのは、国民をバカにした話」との指摘が出ている。

 自民党内には、利子がつかない代わりに、遺産相続の際に額面分の相続税を免除する無利子国債を発行する案もある。相続税対策に悩む高齢者の資金を活用する狙いだが、免除の恩恵を受けるのは資産を持つ富裕層に限られるうえ、相続税が減収となって結局、借金が増える可能性が高い。

 そもそも、大学などの授業料無料化は、学生の支援だけでなく、学生の確保に苦労している私立大学などへの「補助金」的要素がある。このため、自民党内でも「大学の淘汰を進める方が先」との声もでている。

 一方、教育費を確保するため、健康保険料や介護保険料に上乗せして現役世代が負担する「こども保険」の導入を模索する動きもある。先進国で最悪の財政状態でさらに借金を増やすのか、財政健全化に向けた政府・与党の本気度も問われている。

投稿者: 松村税務会計事務所

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