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2017.05.12更新

エンゲル係数、昨年29年ぶり高水準

総菜人気、衣料は節約

 

 総務省がさきごろ発表した2016年の家計調査速報によると、家計の支出に占める食費の割合である「エンゲル係数」は二人以上の世帯で前年より0.8ポイント上昇して25.8%となった。1987年以来29年ぶりの高水準。食品価格が上昇したほか、共稼ぎ世帯の増加で調理食品などの購入が増えたことが背景にある。衣料品などを買い控えており、家計の節約志向は根強い。

 

 16年の1世帯あたりの月額消費支出は平均28万2188円で、物価変動の影響をを除いた実質で前年に比べ1.7%減った。前年を下回ったのは3年連続だ。

 勤労世帯の消費支出も実質で1.7%減。エンゲル係数(農林漁業世帯を除く)は24.1%となり、90年以来の高水準だった。

 家計支出のなかで、食品はほかの支出に比べて削りにくく、一般的にエンゲル係数が高いほど他の支出に回す余裕がなく、経済的に苦しいとされる。経済が発展途上にあるときは高く、成熟してくると低下してくる。80年代以降にエンゲル係数が低下傾向だったのは「景気が上向き消費全体が活発で、娯楽など食品以外の支出が増えたため」(総務省)とされる。

 日本経済はすでに成熟しているが、同指数は15~16年の2年間で1.8ポイント上がった。総務省は「うち半分は食品の物価上昇によるもの」と分析した。

 消費者物価指数(CPI)をみると、16年の総合指数は0.1%低下したが、食品は1.7%上昇。円安傾向などで原材料価格が上昇し、菓子類や加工食品が値上がりしたためだ。

 働く女性の増加も食品への支出増につながっている。総務省がさきごろ発表した労働力調査(詳細集計)によると、女性の就業率(15歳以上)は48.9%と前年比0.9ポイント上昇した。93年(49%)以来、23年ぶりの高い水準だ。15~64歳の生産年齢人口ベースでみると就業率は66%に達し、過去最高水準となっている。16年の女性正社員の雇用者数36万人増の1078万人となり、増加数はこの10年で最も多かった。

 食品への支出は2人以上の世帯で実質0.2%減だったが、勤労者世帯では0.6%増。特に「時短」につながる弁当や総菜セットなど調理食品は4.5%と旺盛だ。

 一方、勤労者世帯でも家具・家事用品は1.8%減、被服及び履物は3.4%と振るわない。勤労者世帯の可処分所得は42万8697円で実質0.4%増。企業の賃上げの効果もあり4年ぶりに増加したが、可処分所得のうち消費に回した割合を示す「平均消費性向」は1.6ポイント低い72.2%で、15年ぶりの低水準となった。

 SMBC日興証券の牧野潤一氏は「16年は値上げより食品値上げの影響が大きく、節約志向が高まった」とみる。特に無職世帯にとって値上げは家計に打撃だ。高齢夫婦の無職世帯ではエンゲル係数が15年から1.7ポイント上昇の27.3%となった。

投稿者: 松村税務会計事務所

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