所長ブログ

tel_sp.png
メールでのお問い合わせ

2017.02.15更新

効率より「味・品質」重視

 

 キッコーマンは、2017年に100周年を迎える。主力工場の野田工場(千葉県野田市)は茂木・高梨両家がしょうゆ作りを始めた流れを受け、現在も同社の国内しょうゆ生産を支える。しょうゆは和食料理はもちろん、ステーキやハンバーグ、パスタといった欧米食の隠し味など、世界100ヵ国以上で使われている。同工場の長島宏之キッコーマンものしりしょうゆ館館長は「しょうゆ作りの基本は、コンピューター制御が普及した今も変わっていない」と話す。

 

 しょうゆの原料は大豆と小麦、食塩水。それにこうじ菌や乳酸菌、酵母の微生物を加えて、原料の栄養素をうまみ成分に変質させる。「大豆と小麦の使用割合、発酵・熟成期間の長さで種類やタイプが違ってくる」(長島館長)。しょうゆには一般的な濃い口のほかに薄口、たまり、さいしこみ、白など多くの種類がある。

 生産工程はまず、水に浸して蒸した大豆と炒った小麦に種麹を混ぜてしょうゆ麹をつくる。それに食塩水を仕込んで、もろみにする。製麹に必要な期間はおおむね3日で、仕込みにかかる期間は4_6ヵ月。温度などを制御し仕込み期間を短縮すれば生産効率が上がると思われがちだが、生物を相手にするため、品質にばらつきが発生し「コストの問題も考えれば、これがベスト」(同)な状態という。

 

生産工程を重視

 

 熟成したもろみは、全長が2800メートルもある長大なナイロン袋に詰め、幾重にも折りたたんでしょうゆを搾る。これも最初から圧力プレスで一気に搾ることはせず、自重でまずしょうゆを袋外にしみ出させてから、時間をかけてゆっくりプレス機で搾る。生産効率よりも、機械制御では実現が難しい味や香りを大切にするためだ。

 こうしてできたしょうゆが、生しょうゆだ。物流インフラが整っていなかった時代は、長期保存のため加熱・殺菌する火入れを行っていた。だが、二重構造の機密ボトルが登場したことで、開栓後も味や香りが保てるようになった。これを採用した商品が「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」で、同社の稼ぎ頭だ。

 

「人」が評価

 

 しょうゆの生命線といえる、味や香り。うまみの成分は約20種類のアミノ酸、香り成分は300種類以上になるという。この味や香りの品質を一定に保つため、コンピューターによるデータ管理に加えて「官能評価」を用いる。官能評価は「先入観を持たないよう」(同)、味覚・臭覚に優れた社外の専門員を育成。専門員が「このしょうゆはフルーティー」「こちらはややスモーキー」などと評価していく。分析機器などで一定の評価はできるが「全体のバランス評価ができるのはやはり、人」と、研究開発本部の今村美穂さんは話す。

 野田工場にはほかに、宮内庁に収めるしょうゆを生産する「御用蔵」がある。杉桶を使い、自然の気候の中で1年かけてじっくり発酵・熟成する伝統製法。

 商品は工場内売店やインターネットなどでも販売している。味や品質に対するこだわりが、同社の商品力を支えている。

投稿者: 松村税務会計事務所

SEARCH

CATEGORY

HOME
メールでのお問い合わせ 営業時間 9:00~17:30 定休日 土日・祝日 土日・祝日時間外予約可