東京五輪・パラリンピック
政府主導で検討へ
政府は、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、東京や新宿などターミナル駅のバリアフリー化を進めるため、東京都や鉄道事業者などによる検討会議を夏までに設置する方針を固めた。複数の路線が乗り入れるターミナル駅は、費用負担などの調整が難しく、バリアフリー化が十分進んでいない。五輪までに選手らの受け入れを整えるためには、政府が先頭に立つ必要があると判断した。
政府は、競技施設周辺でバリアフリー化を優先的に実施したい考えだ。具体的には、1競技会場や選手村の建設が予定されている臨海部 2メインスタジアムの新国立競技場や国立代々木競技場周辺 3東京国際フォーラムや日本武道館など皇居周辺_を想定しており、東京、新宿のほか、品川や渋谷などの各駅が対象になりそうだ。上野や浅草、六本木など観光目的で多くの利用が見込まれる駅も対象とする方向だという。
検討会議では、車いすへの対応、エレベーターの設置箇所など現状を調査する。乗り入れ路線が多いターミナル駅は、移動ルートが複雑でわかりにくいため、構内の点字案内板や音声装置なども点検し、改良工事の内容や費用負担を議論する。障害者からも意見を募り、計画に反映させたいとしている。政府や都の財政支援のあり方も焦点になりそうだ。
政府は、昨年は1341万3600人で最多を更新した訪日外国人旅行者を20年までに2000万人に増やす目標を掲げている。パラリンピック大会には選手約5000人のほか、観戦客など多くの障害者の来日も見込まれている。
国土交通省によると、1日の平均乗降客が3000人以上の都内の駅のうち、エレベーターの設置など段差解消が進んでいるのは97%の687駅(13年度)。00年に施行された交通バリアフリー法により、中小規模駅を中心に対応が進む一方、ターミナル駅の整備の充実が課題となっている。
五輪の先を見据えて
秋山哲男・中央大教授(都市工学)の話
「日本の交通機関のバリアフリー対策は民間任せの面が多く、障害者の議論への参加も不十分だった。これから高齢化がすすめば、移動が困難な人はますます増えていく。どのような都市を目指し、将来に何を残すのか。五輪のさらに先を見据えたバリアフリー対策の理念を今こそ打ち出すべきだ」
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