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2015.04.24更新

厚生年金基金9割積立不足

 会社員らが入る厚生年金基金のうち、2014年末時点で290基金が解散を予定し、その9割にあたる261基金が13年度末時点で企業基金の積立不足に陥っていることがわかった。261基金の年金受給者と現役社員の加入者は計306万人にのぼる。積立不足を穴埋めできずに解散する基金では、企業年金がなくなったり減額されたりするおそれがある。

企業年金廃止減額の恐れ

 厚生省のモデル例では、厚生年金基金の企業年金は月に7千〜1万6千になっている。年金を受け取る期間は10〜20年の人が多く、支給が打ち切られれば「最大で数百万円の権利を失う」(神奈川の基金)という人もいる。
 厚生労働省がまとめた資料によると厚生年金基金は昨年末時点で483基金あり、このうち290基金が解散を予定していた。
 解散予定の基金のうち216基金は企業年金の積み立て不足だという。なかでも78基金は企業年金の積立金がなくなったうえ、厚生年金の代行部分まで積み立て不足に陥っていた。78基金の年金需給者と現役加入者は計103万人になる。
 解散する場合、厚生年金の代行部分は基金に入る企業が不足分を穴埋めし、厚生年金は国から支給される。しかし、企業年金の不足分は基金ごとに穴埋めするかどうか決めるため、企業が払えなければ穴埋めできないおそれがある。
 企業年金の積み立てがなければ、支給はできなくなる。積立金が残っていれば、それを受給者や加入者に分配する。余裕がある基金は解散後に新たな企業年金をつくって積立金を移し、支給を続けるなどの可能性もある。
 ただ、厚生年金基金は中小企業が多く、新たな年金をつくる余力がある企業は多くないとみられる。14年4〜12月に解散した37基金をみると、少なくとも19基金が企業年金の積立金がなく、約23万人分の企業年金が打ち切りになった。
 朝日新聞の調べでは、今後は「愛知県石油」や「大阪自動車整備」などが解散を予定し、企業年金の支給が打ち切られる見通しだ。
 厚生年金基金は1990年代には約1900基金あった。だが、高齢化で受給者が増える一方、現役加入者が減ったのに加え、株価低迷で運用が悪化したり積み立て不足になったりして解散する基金が増えた。
 厚労省の資料では、11年度末には577基金のうち561基金が企業年金の積み立て不足に陥っていた。最近は株価回復で運用が改善し、13年度末には531基金のうち積み立て不足は419基金まで減ったが、まだ多くの基金が不足額の解消に至っていない。

投稿者: 松村税務会計事務所

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