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2014.10.17更新

日本の若者は起業への意識が希薄_。人材コンサル大手、ヘイズ・グループが世界13ヵ国を対象に実施した調査で、こんな実態が浮かび上がった。「起業に関心なし」との回答が58%に上り、13ヵ国で最高だった。国内の新規株式公開企業数は高水準だが、恒常的な市場活性化には、安定志向が世界的にも突出している若者の意識改革が欠かせない。
 ヘイズは13ヵ国で若者の仕事に対する意識調査を実施した。いずれの国でも18〜30歳を対象に、1000人から回答を得た。
 日本は企業家の予備軍となる「将来の起業を考えている」と回答した層は29%。13ヵ国で最も低かった。「起業がキャリアの主要目標」という回答も10%にとどまり、関心なしの層の多さが際立つ結果だった。

中国とは対照的

これと対照的な結果だったのが中国だ。「将来起業を考えている」は40%と日本の倍の水準だった。逆に、中国では「起業に関心なし」と答えたのは6%ほどしかいなかった。
 ヘイズ・ジャパンのリージョナル・ディレクター、ジョナサン・サンプソン氏は調査結果を踏まえ、「日本の若い世代は危険回避型の思考が強い。政府がグローバル化を進めようとしても、将来リーダーになろうととする若者が少ないのは残念な結果だ」と指摘する。
 調査を裏付けるようなデータがある。
 今年になって日本証券取引所グループの取引所に株式を上場した企業は7月末までに29社。その中で30歳以下の社長が率いる会社はわずか4社だ。10歳刻みの年齢層で最も多かったのが60代の10社で、新規上場した企業の社長の平均年齢は54歳超。20〜30歳代で会社を立ち上げた若手の社長が短期間で事業を急拡大させて、株式上場する成功例は少ない。
 企業成績の改善や株式市場の堅調さを反映し、株式公開をする企業の数は高水準を保っているが、若い企業家の成功例が少ないままでは、安定志向を強める若者が起業を敬遠する傾向は変わらないだろう。優れた事業アイデアを持つ若手を支援して、企業としての成長を促す仕組みが一段と必要になりそうだ。
 日本の若者の安定志向は、調査のほかの設問からも読み取れる。海外での就業機会については44%が「職種がなんであれ関心なし」と回答。「東日本大震災を経験した結果、地元志向が強まっている」(サプソン氏)という変化が影響している側面もありそうだ。
 キャリア成功とは何かを聞く設問では、「仕事での満足」と「雇用安定の獲得」が49%で並んだ。安定した職の獲得が「経済的豊かさ/高い給与」(41%)を上回っている。「安定」を求める回答が上位にあがる国はまれで、日本の若者の傾向が明確になっている。
 調査は目先の給与だけ引き上げても、持続性を感じられる仕事でなければ魅力的とはとらえられない若者の姿を浮き彫りにした。人手不足のなかで、若年層の定着に苦戦する中小企業が多いのには、こうした若者の意識が背景にあるのかもしれない。


投稿者: 松村税務会計事務所

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