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2014.07.18更新

こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
 全国のドラッグストアや薬局を介護情報の提供窓口にしようという取り組みが業界団体主導で進んでいる。関連資格を持つ販売員は現時点ではわずかに2人だが、現在45社・約100人が準備中。ドラッグストアの売上高に占める介護関連商品の比率はまだ低く、地域に密着した店づくりで需要の囲い込みにつなげる。

 「介護が必要な人を抱えた家族が、あてもなく施設をさがすのは大変」。キリン堂赤川店(大阪市)の松岡美和店長(43)は「介護情報提供員」の資格を取った理由を説明する。赤川店の商圏内には高齢者が多く住み、足腰が悪かったり、家族が在宅医療を受けたりしている顧客も目立つ。しかし松岡さんはかつて、顧客の相談に適切な受け答えができなかった。
 そうしたなか日本チェーンドラッグストア協会(横浜市、JACDS)が介護情報提供員の認定制度を昨春導入。松岡さんはさっそく取得に向け勉強を始めた。介護に直接携わるわけではないが、取得すれば介護制度と地域介護の実態を一体的につかめ顧客の相談に応じやすくなるからだ。
 取得には複雑な介護制度を理解することが必要。「医療制度では報酬を、点と呼ぶが、介護制度では単位とよぶことすら知らなかった」(松岡さん)。最も難しかったのが地域の介護関連施設を地図にすることだ。松岡」さんは役所はもちろん、休みの日には介護施設に何度も足を運んで入浴の様子などを見学。診療科単位で在宅医療にあたっている病院も色分けして地図にした。
 せっかくの資格だが、介護施設に関する顧客の問い合わせはまだない。ただ準備の過程で知り合ったケアマネージャーの在宅介護に同行して服薬指導をするなど、新たな顧客の獲得につながる試みも少しずつ始めている。
 介護用品の販売構成比はドラッグストア全体の1%に満たないとみられているが、大人用紙おむつなどのニーズは今後増えそうだ。インターネット経由でも気軽に買えるが「ドラッグストアが介護に詳しい従業員を抱えれば介護にあたる人が店に寄ってくれる機会が増え、収益につなげやすくなる」と松岡さんは読む。JACDSの横田敏部長も「ドラッグストアや薬局では薬剤師らの知識も活用でき、介護相談に向いている」と話す。
 一方で資格取得の勉強や調査は非常に手間がかかる。キリン堂の松岡さんは資格をとるのに8ヵ月もかかった。ウエルシア関東神栖知手店(茨城県神栖市)勤務の山本利香さん(52)も3ヵ月前に勉強を始めたが、取得まで年内いっぱいかかる見込み。地図作りや介護制度を販売現場でどう生かすかのアイデア作りに悩んでいる。それでもJACDSの横田氏は「面倒でも、介護施設の現状や雰囲気をつかむこyとは大事」と強調する。
 ドラッグ業界は2000年に介護保険制度が施行されたときも介護用品の需要が伸びると期待したが、絵に描いた餅、に終わった。JACDSは地域の需要を十分くみ取らず関連用品を単に店に置いただけだったことが失敗の原因と見る。そのため、介護情報提供員は地域の事情に通じていることを重視している。
 内閣府によると、75歳以上の人口は17年に65〜74歳人口を上回る見通しだ。家族に介護が必要な人が出た時、約7万店あるドラッグストアや薬局を情報拠点として生かさない手はない。JACDSは将来、1店1人の配置を目指す。地域の福祉拠点「地域包括支援センター」など公的機関との連携も今後課題になりそうだ。


投稿者: 松村税務会計事務所

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