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2014.02.17更新

こんにちは、北区王子の税理士松村憲です。
 平成25年12月5日、「経営者保証に関するガイドライン研究会」(事務局 日本商工会議所・一般社団法人全国銀行協会)から「経営者保証の関するガイドライン」が公表されました。これは、中小企業や個人事業の経営者による個人保証を巡る課題の解決に向けて、経営者と金融機関のそれぞれが果たす役割を具体化したもので、平成26年2月1日から適用されます。

 個人保証の負担が新事業や再生の意欲を阻害

 中小企業庁の調査によれば、中小企業の86%が、経営者保証(経営者による個人保証)を提供しています。しかし、過度な経営者の個人保証が、新事業展開、設備投資、早期の事業再生や事業承継に対する経営者の意欲を阻害しているという指摘がありました。
 このような、わが国の経営者保証制度について、近年、見直しの気運が高まり、これまで、包括根保証の廃止、民事再生(法的整理)、中小企業再生支援協議会や事業再生ADR制度(私的整理)など様々な制度整備が進められてきました。
 しかし、個人保証自体は変わらず、依然、経営者には大きな負担が残っているというのが実情でした。

 企業中小の成長、事業再生における
 個人保証の問題解決を図る

 安倍政権が進める経済政策(アベノミクス)の「三本の矢」の一つ「成長戦略」では、早期に取り組む施策として「新事業の創出」を挙げ、ベンチャーや再チャレンジへの投資を促進して産業の新陳代謝を促し、わが国の開・廃業率(現在5%台)を欧米並の10%台まで引き上げることを目指しています。
 それには、中小企業の活力を引き出すことが不可欠であり、成長戦略では、「一度の失敗ですべてを失い、ノウハウや経験が生かされないような現状の経営者保証制度を改め、一定の場合には、経営者保証を求めない等のガイドラインを策定する」としました。
 成長戦略を受けて、金融庁や中小企業庁の関与のもと、日本商工会議所と全国銀行協会が共同で「経営者保証に関するガイドライン研究会」を設置し、個人保証に過度に依存しない融資の可能性、企業再生における経営者の責任のとり方や個人保証の履行や残存等の問題解決に向けて検討を進めてきました。そして昨年12月、「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。
 本ガイドラインには、法的拘束力はありませんが、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的に守るべき規制として次のような効果が期待されています。
 1 経営者保証のない融資を促進する。
 2 既存の保証契約の適切な見直しをはかる。
 3 保証債務の履行請求を限定的にする。
 昨年12月5日に閣議決定された「好循環実現のための経済政策」にも、本ガイドラインの利用促進が盛り込まれるとともに、金融庁は、本ガイドラインを融資慣行として浸透・定着されるために、金融機関に対して積極的に活用することを要請しています。
 いずれにしろ、経営者保証のない融資や保証債務の履行時における課題の解決など、経営者の負担軽減への道が開けたことは一つの前進といえるでしょう。
 

投稿者: 松村税務会計事務所

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