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2013.08.29更新

こんにちは北区王子の税理士松村憲です。

取引先が出店「四の市」人気

「おばあちゃんの原宿」として有名な東京・巣鴨の巣鴨信用金庫本店前にある朝、杖をついいたお年寄りが並んでいた。年2回、取引先が集まって店をだす。「四の市」に来た人たちだ。
 午前10時に開店すると、信金職員が「いらっしゃいませ」と迎え入れた。洋・和菓子などを売るブースには人だかり。この日は約3600人が入り、入場整理する時間帯が続いた。
 板橋区から来た小泉君子さん(83)は帽子や、ひ孫洋の傘を買った。旅行が大好きだったが、「長旅はもう無理。今はここへ来るのが楽しみ」と話す。

年金受け取り口座数も増加

 巣鴨では毎月4日、14日など「4」のつく日に縁日が開かれ、高齢者でにぎわう。「トイレや休憩所を提供しよう」と、20年前からホールを「おもてなし処」として開放。お茶などを配り、落語家を呼んで演芸会も開く。今月、おもてなし処の来場者は通算100万人を越えた。「四の市」箱の延長で始まった。同信金の年金受け取り口座は年々増加し、昨年9万件を突破した。
 全国に270ある信金の取引先は中小企業や個人。昨年3月決算預金残高総額は約122兆円と、地銀・第二地銀の約280兆円の4割強。営業地域も比較的限られ、巣鴨信金は豊島区や練馬など東京都内9区と埼玉県南部が地盤だ。
 全国信用金庫協会の篠原幸治・広報部次長は「信用金庫イコール小さい銀行ではない」と強調し、「弱者救済から始まった非営利組織。行政とは違う視点で地域の課題に取り組むという点ではNPOやNGOと重なる部分がある」。取引先を巻き込み、地元の名産品を作ることもあるという。

安否確認・巡回安全網の役割

 ただ中小企業は1986年をピークに減少し、融資先は減り続ける。地域密着、対面重視の信金は、インターネット上でのやり取りを好む若い世代からは敬遠されがちでもある。
 だが、中央大大学院の露木恵美子教授(組織論・戦略論)は、信金は「高齢化時代のセイフティーネットを担う一躍だ」と話す。
 たとえば、きのくに信金(和歌山市)が16年前に始めた「一声運動」。1人暮らしの年金受給者約1200人を毎月、職員がまわり安否確認とともに振り込め詐欺などへの注意を呼びかける。倒れている人や、火事を見つけたこともある。
 磐田信金(静岡県磐田市)は2004年、高齢者の利便性を考えて出張業務を始めた。オンライン端末窓口を設置した移動店舗車を導入、山間地域の集落をまわる。東日本大震災直後は津波で営業できなくなった石巻信金(宮城県石巻市)に移動店舗を貸し出した。
 若い世代からは「ネットサービスに力をいれないの?」と聞かれることもあるが、磐田信金の加藤喜彦・経営企画グループ長は「震災後、改めて普段から面識をもっておくこおくことの大切さを痛感した」と話す。
 巣鴨信金には、高齢化が進む台湾などから視察が相次いでいる。露木教授は「互助的に支えあう、日本独自の社会システム。安全面でのリスクヘッジは必要だが、信金モデルを海外へ輸出できる可能性もあるのでは」と話している。

投稿者: 松村税務会計事務所

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