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2012.10.30更新

こんにちは、北区、王子の税理士、松村です。

 勤務態度不良や能力不足などを理由に、会社が社員を解雇する例があります。しかし、このような社員の解雇は、後で裁判に発展するケースがよくあります。

 解雇に至る勤務態度の問題としては「遅刻や無断欠勤が多い」「業務命令を拒否した」「会社に合わない」「能力が低い」などがありますが、裁判例では、労働者保護の観点から、問題のある従業員であっても、安易な解雇を認めないケースがほとんどのようです。

 今回は、勤務態度に問題のある社員の解雇の例を前半と後半でお伝えします。前半では、勤務態度に問題のある社員が解雇に至った経緯。後半では、解雇後に裁判に発展した経緯をご紹介します。


酒好き社員の勤務態度に問題があり業務に支障をきたした例

幹部社員A(51歳男性)は、糖尿病を患っており、健康な人よりもアルコール分解能力が弱いため、医師からも飲酒を控えるように指導されていました。
しかし、酒好きのAは、酒を控えることなく、業務に支障をきたしていました。

Aには、
酒に酔った状態で出勤する。
勤務時間中に居眠りをする。
同行訪問・社外での打合せと称して、嫌がる部下を昼間から飲酒に連れ出す。
勤務時間後に酒に酔った状態で他の従業員に長電話する。
展示会などで、取引先担当者の前でも、飲酒によってろれつが回らないことがあった。
風邪、体調不良、うつ病などを理由に病気休暇を頻繁(月に1~4日)に取得するようになった。
などの勤務態度がみられました。

一連のAの勤務態度について、他の社員だけでなく、取引先からも会社に苦情が寄せられていました。また、A自身も上司に「仕事が体力的につらい」とこぼしたことがありました。

Aに対し社長からは、
飲酒を控えること。
午前7時前と午後9時以降にほかの従業員への電話をしないこと。
勤務中に居眠りをしてしまうときは別室で仮眠をとること。
という指導がありました。

しかしながらAの態度はなかなか改まらず、大口取引先の担当者が、打合せのために来社した際、Aは連絡もなく出勤せず、会社が電話で出勤を命じたにもかかわらず出勤しませんでした。この件で立腹した取引先は、Aの解雇を要求してきました。会社は、Aに対して退職届の提出を求めましたが、Aが拒否したため、就業規則に定める普通解雇事由に該当するとしてAを解雇しました。

しかし、Aは解雇は違法として、損害賠償を請求し訴訟となりました。

次回後半では、解雇後の裁判での判決についてお伝えします。


投稿者: 松村税務会計事務所

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